どんな望みも叶えてくれる優しい貴方に

もう少し甘えていてもいいですか?






  その存在、恋しくて   (番外編)






トシは手慣れた様子で俺の肩から隊服の上着を脱がすと、大事そうに埃を払って長押のハンガーに吊るした。



「トシ今日非番だったっけ?」

「ん? ・・・あぁ、まぁ。」

「・・・だよな。まだ昨夜の寝間着のままだもんな。」



スカーフを解きながら胸の辺りをちょんと指で突付いてやると、トシは決まりが悪そうに綿のたっぷり入った半纏の前を掻き合わせた。



「別に・・・着替えんのがメンドかっただけだ。」

「そうか。」



するりと首から外したスカーフを渡すと、トシはそれも丁寧に皺を伸ばすように手で撫でつけ、ハンガーに掛けた。
どうせすぐにクリーニングに出してしまうのに、コイツは妙にそういうところに細かい。



「・・・あ、寝直すんなら布団敷いとくな。」

「あぁ、頼む。」



ベストを脱ぎながら、俺はぼんやりとトシの浴衣の裾辺りに視線を向けた。

白地に濃紺の松葉模様。

着ている当人は知る由も無いことだろうが、それは俺の大好きな浴衣だった。
細くてツンツンしている感じが、なんとなくトシのイメージに重なって。

そういえばいつだったかに、「ああいう奴の事を『ツンデレ』って言うんでさァ。」と総悟に教えて貰ったことがあった。
流行の言葉はよく知らないけれど。


とにかくまぁそういう訳で・・・



「・・・よし。あれ? まだ着替えてなかったのか?」



俺は手に提げていたベストをその辺に放り投げ、こちらへ歩み寄って来たトシを両腕で抱き締めた。



「!? ・・・ちょ・・・どうし・・・」

「トシ・・・」



だから、昨夜あの画像が送られてきた時、俺は思わずその小さな画面に触れていて・・・



「近藤・・・さん?」



その細い手首を掴んで、こちらへ引き摺り出したくて。
その手を繋いで、一緒に眠りたくて。

会いたくて、会いたくて、冷たい布団に寝転がりながら、一晩中、その手を見てたよ。


俺はトシを抱き締めたまま歩を進め、足で掛け布団をまくってその上にトシを押し倒した。



「わっ! ・・・な、何だよ急に・・・」

「トシも一緒に寝よう。」

「はぁ?」



トシの上に覆いかぶさりながら掛け布団を肩まで纏うと、トシはなんとか俺の体の下から這い出そうともがいた。



「俺・・・まだ仕事が残ってるから・・・」

「でも、さっきまで眠そうにしてたじゃねぇか。」

「・・・だけど・・・」



暴れる腕を押さえ込むように抱きながら更にトシの体に体重を掛けると、その口から苦しそうに息が漏れた。



「何でもしてくれるって言ったろ? 一緒に寝ろ。」



猫が甘えるように、その喉元にじゃれついてやる。



「わかった・・・から、ちょっとどけ。重い・・・」

「はいはい。」



腕は抱きついたまま体だけ横に退けると、トシは脱力したように目を閉じてはぁはぁと息を継いだ。


くそぅ。トシは呼吸をするだけでエロいときている。



(そんな姿見せられちまったら・・・)



俺は腕を解いてトシの頭の両側につき、再びその体の上に乗った。

しかし今度はのしかかるのではなく、腰の辺りに跨るように。



「・・・何?」

「ん? まぁ・・・」



少し乾燥した唇を指でなぞり、そこに口付けを落とす。

十分に舌を絡め合わせてから唇を離すと、トシは口中を潤した二人分の唾液をコクンと嚥下した。



「・・・寝るんじゃねーの・・・?」

「うん・・・でも・・・」



スルリ、と浴衣の袷に手を滑り込ませて左肩を顕わにさせると、トシが小さく身じろいだ。



「・・・ヤりてェのか?」

「うん・・・嫌か?」



脱がせた浴衣を戻しながら訊くと、トシはその手首をそっと掴み、目を閉じて首を横に振った。



「好きにしろよ。脱がしていいぜ・・・」



フッと微笑んで、トシは俺を促すように浴衣の前を開いた。



「寒くねェか?」

「あぁ。触って・・・」



乞われて胸元を撫でてやると、俺の掌の温かみを感じ取ったのか、トシは安心したように再び目を閉じた。


どうしよう。可愛すぎる。


早くも股間に熱が集まってくるのを感じ、俺は僅かに腰を浮かせて後ろへ下がった。



「・・・ん・・・?」



が、勘のいいトシは敏感にその気配を察知したのか、肘をついて半ば身を起こした。



「どうかしたのか・・・?」

「あ、いや、トシはまだ寝てていいから・・・」



前戯のうちからこんなおっ勃てているのを知られては・・・なんか、男役としての余裕と威厳というやつが・・・とにかく、アレだ。


慌てて肩を押さえて寝かせようとすると、トシの目は丁度視線の高さにあった俺の股間をじっと見詰めていた。



「近藤さん・・・辛そうだな。」



しまった。ズボンのままだったのでなんだか膨らみが目立っている。

行動を早まりすぎたか、俺。



「あぁ・・・まぁ、それは後で・・・」

「いや、口でするよ。」



言うと、トシは腕を押しのけて起き上がり、俺を座らせると手早くベルトとボタンを外して前をくつろがせた。



(手際がいい・・・。なんか奥さんみてェだな。あ、もう奥さんか?)



ぼんやりと割烹着姿のトシなんぞを妄想していると、トシは下着の中から取り出したものの先端を口に含んだ。



「っ・・・」



水気をたっぷりと含んだ舌の感触に小さく息を漏らし、トシの後頭部を片手で押さえると、トシはその頭を上下に動かしながら、
両手の指先で支えた俺のものを少しずつ奥へ奥へと受け入れていった。



「ん・・・んっ・・・」



水音に小さな声を混じらせながら丁寧に俺のものを舐め回すトシは、その先端が深い位置を突くのか、時折ビクンを喉を震わせた。



「トシ・・・」



苦しかろうと思い、頭を少し浮かせてやろうとしてみたけれど、しかしトシはその手を振り払うようにさらに顔を沈め、口の中のものを
ちゅうちゅうと吸い上げた。



「ん・・・」



気遣ってやりたい思いとは裏腹に、懸命に奉仕してくれているトシの姿に、股間は膨らみを増していく。



「っ・・・トシ、そろそろ・・・」



ヤバイ、と頭を離そうとすると、それでもやはりトシはさらに深く顔を沈め、俺は口腔とはまた違う柔らかな粘膜が先端に触れるのを
感じた。



「くっ・・・!」



それが限界を突破する刺激となり、俺はトシの口中に熱い液を放出した。

・・・いや、「口中」というよりは直接喉にぶつけてしまったような勢いだったけれど。



「っ! ・・・」



トシの頭がビクリと動き、引き攣るように何度か精液を飲み下してからようやっとそれは俺から離れた。



「・・・ッゲホ、ゲホ・・・」



息を吸い込むと同時に大きく咳き込み、口元を押さえる手の甲に白いものが飛び散ったのが見えて、俺は息つく間もなくトシの背を
さすった。



「おおおぉいトシ! 無茶すんなって・・・」



・・・なんて、俺が言えた義理でもないけれど。



「・・・だい、じょ・・・ぶ・・・」



まだ小さく咳をしながらも、トシはゴロリと仰向けに身を横たえ、目尻に浮いた涙を拭った。



「いい・・・から、続き・・・」



いいから、って・・・いいのか?


「好きにしろ」と権利を与えられながらもいつの間にかトシのペースに持っていかれ、俺は戸惑いながらも濃紺の半纏を脱がせた。



「ふ・・・」



分厚い半纏の下は先刻までの興奮からかしっとりと汗ばみ、肌に貼り付く布を浮かせるようにトシは脇腹辺りの布をつまみ上げ、
パタパタと風を送った。


汗の浮く首筋や胸についばむように口付けを落としながら帯を解いてやると、トシの覚束ない指先が引っ掻くように俺の胸元に触れ、
シャツのボタンを外そうとしてくれているのだと分かった。



「・・・トシ、いいから。」



俺の手を煩わせまいとする健気さに胸が熱くなるのを感じながらも、俺はその手を取って下ろさせ、再び唇を重ねた。



「ん・・・」



口付けながら、掌を重ねるように握り直し、その手を横目で見た。



(この手だ・・・)



画面から連れ出したかった手。
強く握って、傍に置いておきたかった手。

思いをぶつけるようにその手に力を込めると、トシの指先も応えるように俺の手を握り返してきた。


その温もりが、幸せだった。



「っぷは・・・」



随分と長い口付けを終えて顔を上げると、荒い呼吸を繰り返すトシの目はトロンと潤み、下腹に硬いものが当たる感触があった。

触れて、そこを覆う下着を脱がしてやると、濡れた先端が指先を滑り、透明な短い糸を引いた。



「あ・・・」



そんな少しの刺激でも感じてしまうのか、トシは小さく体を震わせた。


濡れた指を舐めてシャツを脱ぎ、脚を抱え上げて改めて舌で濡らした指を後孔に差し込んだ。



「あっ、あっ・・・!」



既に慣れたその場所に深く差し入れた二本の指を交互に動かすと、トシは首を反らせて可愛らしく啼きながらビクビクと体を波打たせ、
部屋に響き渡るぐちぐちという湿った音に、恥ずかしそうに頭を振った。



「あ、あ・・・ふ・・・」



そろそろ頃合いかと、トシの蜜に濡れた指を引き抜いてちゅ、とそれを吸うと、涙と興奮で目の縁を赤く染めたトシがチラリと
こちらを見遣った。



「・・・好きにしていいんだよな?」



首を伸ばして確かめるように──されど否定する余地を与えない口調で訊くと、トシはコクコクと首を立てに振り、早く、と
求めるように腰を浮かせた。



「はいはい。」



再び硬く勃ち上がったものを中に押し込み一息に貫くと、トシは小さく嬌声を漏らし、内部を柔らかく締め付けた。



「あっ・・・や・・・あぅ・・・!」



すぐに激しい抜き挿しを繰り返すと、トシは快感に艶かしく身をくねらせながら喘ぎ、薄く閉じた目の端から涙を零した。



「トシ・・・」



それを拭ってやろうと体を倒すと、弱々しく伸びた腕が俺の背に回り、やんわりと引き寄せられた。



「ん・・・もっ・・・と、おく・・・も・・・」



荒い呼吸の間に途切れ途切れに紡がれたその言葉に、俺はトシの頭を抱き寄せながらぐっと腰を進めた。



「あっ・・・!」



悦い所に当たったのかトシの体が一瞬跳ね上がり、殆ど涙声になった喘ぎが胸元を伝った。



「や・・・ぁ・・・もぅ、い・・・く・・・」



ぎゅ、と内部が一層締め付けられ、トシの体が弓なりに反った。



「あ・・・あぁ・・・っ!」



腹に何か熱いものが飛び散ったのを感じ、俺も後を追うように最奥に熱を放出すると、絶頂に力を失っていたトシの体が
二、三度痙攣し、背にしがみついていた腕が滑るように布団に落ちた。




*****




「ん・・・」



ぱちりと目を覚ますと、見慣れた天井が昼の光に照らされ、その木目がぼんやりと視界に飛び込んできた。


ゴシゴシと目を擦りながら、先刻の営みを思い出す。

久し振りに激しくやらかしてしまった。・・・が、途中からの記憶がどうにも引き出せない。
このように布団を掛けて眠りについた覚えはないので、快感のうちにそのまま意識を飛ばしてしまっていたのかも知れない。



(水が飲みてェな・・・)



ふと思ったけれど、今朝方まで住人の居なかった部屋は枕元を見回しても何もなく、かといって水を取りに行くために
ぐちゃぐちゃになった浴衣を着替える気力も、そもそも腰が立つ気すらしなかったので、俺は諦めて溜め息を一つつき、
腕に抱きついて眠るその人に目を移した。


一応事後処理はしてくれたらしくそこら辺には無造作に丸められたティッシュが幾つか転がっていたけれど、その人自身は先刻と同じく
依然として上半身を露出したままの姿で寝息を立てていた。



(風邪引くぞ・・・)



布団はしっかり掛かっているもののやはり裸では寒かろうと、俺は手を伸ばして布団の脇に放り出されていた半纏を引き寄せ、
片腕で苦戦しながらもその肩にそれを羽織らせた。



「ん・・・?」

「あ、悪ィ・・・起こしちまったか?」



モゾモゾと身を捩らせた近藤さんは、寝ぼけながらも肌に触れるその存在に気付いたのか、半纏に袖を通してフワリと笑った。



「ありがと。 ・・・今何時だ?」

「さぁ──」



訊かれて床の間にあった小さな目覚まし時計を見ると、2時を5分ほど回ったところだった。



「もう2時過ぎだ。」



あーあ、これで昼飯も食べ損ねた。



「もうちょっと寝るか? 疲れたしな・・・」

「うん・・・」



答えて布団にもぐり込もうとすると、途端にぐぅ、と腹の虫が色気なく鳴いた。

流石にあれだけの事をして何も食わずにいるのは限界か。



「ん? 腹減ってんのか?」

「あぁ・・・少し。」

「じゃ台所行って何か見繕ってくるな。」



言って、近藤さんはサッと起き上がり、布団を出た。



「ちょ・・・待っ、その格好で行くのか?」

「ん?」



素肌に半纏で下はズボンって・・・そりゃいくらなんでも怪し過ぎるだろう。
しかもズボンはベルトとボタンが開いたままで、所々に微かに白いシミが・・・マズすぎる。



「何でもいいから着替えてけよ。」



俺は重く痛む腰をなんとか立たせ、衣服の入った葛籠を開けた。



「じゃあついでだからトシも着替えて一緒に行こう。」

「え? あ、ちょ・・・」



言うと、近藤さんはその格好のまま廊下へ出て行った。
・・・まぁいいか。 俺の部屋はすぐ隣だし。


しかし散々突かれたこの腰は・・・気合で立たせるか。


溜め息をつきながらトントンと腰を叩いていると、近藤さんが帯と浴衣を提げて戻ってきた。



「今渡り廊下の向こうの所に総悟が居たよ。」

「え゛!」



見られたのか。そんな謎の格好を。
しかもよりによって総悟とは・・・何という間の悪い。



「見廻りから戻ったトコみたいでさ、手ェ振ったらなんかすごい優しい目をされたよ。」



もう・・・外に出たくねェ。



「さ、早く着替えて行こうぜ。」

「あぁ・・・」



俺は近藤さんに浴衣を着せ、ノロノロと帯を締めてやった。

まぁ、近藤さんもふらつく俺に浴衣を着せてくれたので、それはちょっと嬉しかったけれど。



「賄い方の奴らまだ居るかなぁ〜?」

「さぁ・・・?」



腕に掴まって支えられながら廊下に出ると、そこに総悟の姿は無く、俺は幾分安心して廊下を歩み出した。



「誰も居なかったらさ、俺が何か作ってやるよ。」

「おっ、マジで? トシの手料理なんて久し振りだなぁ〜。」



・・・なんだかまるっきり夫婦みてェな会話だな。 あ、もう夫婦か。

少なくとも、俺の密かな願望としては。


俺はぎゅっと、その存在を改めて確かめるように近藤さんの太い腕に寄り添った。

もう誰に見られようが、どうでもいいか。




*****




「あ、お疲れやした。」



台所へ入ると、総悟の野郎が張り切った様子で腕まくりをし、何やらピンのようなものが飛び出して妙にゴツゴツとした
握り飯を作っていた。

しかもどうやら俺の方だけ。
もう一つの皿には綺麗に三角形に整えられた握り飯が並んでいる。



「おっ、総悟気が利くなぁ〜! どれどれ、このデカイの何だ?」

「危ねェ近藤さん! 無闇に触るな!」



とりあえずコイツという障壁だけは突破する策を講じなければ。


俺達の明るい将来のためにも・・・。





(了)




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長ェェよこのドエロ夫婦が!!


えー、実際にパソに打ち込んでみるとこんなに長かったのかと自分が一番ビックリです。(←こら)


さて、番外編はエロ編ということで濡れ場を長めにしてみたのですが、思ってみると
フ○ラチオシーンを書くのって初めてですね。
しかもこれフ○ラチオじゃなくてイ○ラチオだし・・・。(爆)

すいません、ただの私の趣味です。イ○ラチオレベルの方が好きなんです。(←鬼畜)


えぇ、まぁ・・・こんなところですよ。
結構夫婦なやり取りを多く盛り込めたので個人的には満足です。

あ、あとそごたんの「おにぎり土方スペシャル」の中身は
パイナポー(手榴弾)ということで。 表現分かりにくくて伝わりましたでせうか・・・?(汗)


それでは、この小説が皆様の夜のオカズになれる事を願って・・・☆