うさぎ うさぎ 何見て 跳ねる
愛しの あの子を 見て 跳ねる
恋するうさぎ
「トシピョン!」
俺は走った。 可愛いおしりを見つけ、走った。
「何ピョン?」
「これ、あげるピョン。」
俺は背中に回していた手を、不思議そうな顔をしているトシピョンの前に差し出した。
「わぁ、おっきなおだんご!」
トシピョンは元々大きな目をさらに丸くして、おだんごを見詰めた。
「今日は十五夜だから、トシピョンのために作ったんだピョン。あげるピョン。」
おだんごをずずいっとトシピョンに近付けると、トシピョンは少し恥ずかしそうだったけれど、それを受け取ってくれた。
「俺のために・・・? 嬉しいピョン。」
トシピョンは顔の大きさほどもあるおだんごに、ほっぺをスリスリして喜んだ。
でも俺は・・・
「トシピョン。」
「?」
「スリスリなら、おだんごじゃなくて俺にしろピョン。」
「え・・・」
途端に、トシピョンの顔が真っ赤になった。
「い・・・いさピョンに?」
「そうピョン。俺にしろピョン。」
強気に言いながら、だけど本当は俺の胸は、はちきれそうにドキドキしていた。
「・・・は、恥ずかしいピョン・・・」
「だめピョン。おだんごあげたのは俺なんだから、スリスリしろピョン。」
こんなこと言っちゃって、トシピョンに「じゃあいらない」っておだんご返されたらどうすんだよ・・・。
でも、トシピョンはおだんごをしっかり握りしめると、おずおずと俺に近付いてきた。
「・・・じゃあ、スリスリするピョン。」
「えっ? う、うん・・・」
トシピョンの顔が、今まで見たことも無いくらい近くまで寄ってくると、俺のほっぺにぴと、と重なった。
ゆっくりとスリスリしてくるそのほっぺは、思っていたよりもずっと柔らかくて、熱くて、俺もトシピョンも、すごくドキドキしていた。
「・・・こ、これでいいピョン?」
ほっぺが離れ、トシピョンは赤かった顔をさらに赤らめて、おだんごに顔をうずめた。
それを見た俺は、なんだか寂しくなって、思わずとんでもないことを口走ってしまった。
「・・・ちゅ、ちゅーするなら、おだんごじゃなくて俺にしろピョン!」
「ええっ!?」
顔を上げたトシピョンは、驚きを通り越してほとんど泣きそうになっていた。
「ちゅ・・・ちゅーしてたんじゃないピョン! 下向いてただけだピョン!」
「いーや、今のはちゅーしてたピョン!」
俺はトシピョンの顔を覗きこんだ。
すると、震えるトシピョンの目から大粒の涙がポロポロと零れ落ちてきてしまった。
「ト、トシピョン!?」
突然の展開に慌てふためいてしまった俺は、訳も分からずトシピョンの周りをぐるぐると駆け回った。
「うー・・・な、なんでそんなに・・・俺を・・・いじめるんだピョン?」
「い、いじめてるんじゃないピョン!」
「じゃあなんで・・・スリスリとか、ちゅ・・・ちゅーとか・・・言うんだピョン?」
「そ、それは・・・」
零れ落ちるトシピョンの涙は、後から後からおだんごに吸い込まれていく。
このままじゃ、甘いおだんごが塩味になっちゃうよ。
早く言わなきゃ。 言わなきゃ・・・
「お・・・俺は・・・」
言うんだ。今がチャンスなんだ。
「俺は、トシピョンのことが・・・好きなんだピョン!」
「え・・・」
トシピョンの涙が、止まった。
「ずっと・・・好きだったんだピョン。スリスリとかちゅーとか、ずっとしたかったんだピョン!」
やけくそで叫んだ。
「今日・・・おだんごあげる代わりに、トシピョンを俺のものにしようと思ったんだピョン!」
「・・・いさピョン・・・」
気が付いたら、今度は俺の目から涙が零れていた。
「ちゅ・・・ちゅーしていいピョン。」
「え?」
「い、いさピョンが泣いてるトコなんて、見たくないピョン。」
トシピョンはおだんごを抱えなおすと、また少しずつ俺に近付いてきた。
「俺は、いさピョンの笑ってる顔が・・・す、好きなんだピョン。」
トシピョンの小さな手が俺のほっぺに触れ、涙の跡をそっと拭った。
「ちゅ・・・ちゅーしないのかピョン?」
「す、する! するピョン!」
俺はトシピョンの顔を両手で包むように押さえると、ピンク色のちっちゃな唇にちゅーをした。
その唇は、俺のこねたおだんごより、ずっと甘くて、ふわふわしていた。
*****
もちゃもちゃとおだんごを頬張る可愛いトシピョンが、俺の隣に座っている。
その距離はいつもよりずっと近くて、少しだけドキドキしたけど、そのぶんずっとずーっと、幸せだったんだ。
(了)
───────────
ピョンピョンピョンピョンうっせーんだよオオオォォォ!!!(笑)
ハァハァ、トシピョンがヤワな子だ。 ヤワな子萌え。
いさピョンに至っては訳が分かりません。
ちなみにこの2羽はお互い好き合っているもののずっと「友達同士」でいたのが、
この度のいさピョンの告白によって晴れて結ばれた、というワケで。
・・・ってかもうツッコミどころあり過ぎて何も言えませんね。
頭のおかしい奴の戯言と思って受け流して下さいませ。 ヒイィー。