何も見るな 何も喋るな

ただ、俺に身を任せて。






  落つる闇、深く   






「トシ・・・」



耳元で低く囁くと、組み敷かれたその体がピクンと震える。

たっぷり一時間近くかけて入念な愛撫を施してやったトシの全身は、今やどこに触れても些細な刺激に敏感に反応するほどまでに高められていた。



「・・・はぁ・・っ・・近藤、さん・・・」



もうずっと熱を持ち続けている局部には掠めもせずに下腹辺りを円く撫でると、焦らされるトシは眉根を寄せ、非難のこもった声を上げた。



「も・・・長ェよ・・・」



息は上がっているものの、その声にはまだ若干の余裕があった。



「じゃあどうして欲しい?」



下腹から手を離し、トシの隣にゴロリと寝そべって訊く。
すると、鋭く睨むように俺に向けられていたその目に、途端に不安げな色が浮かんだ。



「・・・やめんの・・・?」

「別にやめやしねェよ。ただ不満があるみてーだから、じゃあどうすりゃいいのかなーと思って。」



手枕をしてのんびりと答えながら汗に濡れた前髪を梳いてやると、トシはその動きにすら何かを感じたのか、気持ち良さげにスッと目を細めた。



「なぁ、どうして欲しい?」

「・・・触って。」

「それァもう飽きたんだろ?」

「じゃあ・・・」



一瞬、口ごもる。



「入れて欲しい?」



代弁すると、恥ずかしそうに頷いた。



「でも、それじゃあいつもと同じでつまんねーしなぁ・・・」



たまには何か趣向を凝らしてみたいが、さてどうしたものかと仰向けに寝そべると、投げ出した手が腰の辺りに触れ、トシはまた小さく声を上げ、
震えた。

こうして喋っている間も焦らされた熱は引かず、むしろ湧き起こるムズムズとした感覚を抑えるために更に力を込める。
すると自然、熱が上がってしまうものと見え、トシの頬は先刻愛撫を施していた時よりも赤みが増していた。



「トシー、」



その様子をぼんやりと眺めながら、俺は文箱の中に仕舞い込んだままにしてあったとある物の存在を思い出していた。



「そう言えば面白い薬があったんだけど、使ってみるか。」

「っ・・・?」



言葉に反応したトシが振り向くより早く、俺は起き上がって文箱の載っている机へ向かい、その蓋を開けてカプセルの三つ入った小さな紙袋を
取り出した。


もう一ヵ月以上も前になるだろうか、これを万事屋から手に入れたのは。

溝鼠組とかいうかぶき町のやくざの某という男から飼い犬(生まれて間もない仔犬らしかった)が迷子になったというので捜索を依頼され、その
報酬と共にオマケとして貰ったものらしい。



「ウチはガキばっかでこういうものがあってもしょうがねェから、おたくの副長さんにでも使ってみなさいよ。」



そう言って渡されたそのカプセルの中身は、渡来物の媚薬だった。

その時はまだ大きなヤマが片付いておらず(銀時と会って薬を貰ったのも、たまたま見廻りの途中で万事屋の前を通りかかった時だ)、受け取っては
みたもののすぐに仕舞い込んでしまってそのままになっていたのだが──いい機会だ。ひとつ試してみようじゃないか。


薬を手にして布団に戻ると、怯え切ったトシの双眸が俺をじっと見上げた。



「それ・・・何?」



覚束ない指先が布団を掴む。



「媚薬だって。万事屋に貰った。」



枕元にしゃがみ込んでカプセルを一つ取り出すと、トシはそれを拒否するように小さく首を振った。



「俺が使いてェんだ。いいだろ。」



トシの頭を起こしてその下に膝を挿し入れ、早く効果が現れるようにと中身を直接口に空ける。



「ぅん・・・っ!」



強い苦味があるのか顔をしかめるトシに、コップに注いだ水を含ませ、飲み下させた。



「っは・・・けほっ・・・ぁ・・・」



得体の知れない薬を飲まされて呆然とするトシを寝かせ直し、様子を窺う。

すると、ややあってその体がビクンと揺れた。



「あ・・・っ! あぅ・・・」



体の中を熱が駆け巡っているのだろう、身を捩り、悩ましげに頭を振る。



「どうだ、気分は。」

「あっ、あぅ・・・は、あぁ・・・っ!」



異常なほど息が上がり、大丈夫かと手を伸ばしかけると──トシは弓なりに背を反らせながら痙攣し、下腹に白い液体が飛び散った。



「トシ・・・」



結局一度も触れないまま達したそこは、しかし一旦精を吐き出して尚、またすぐに脈打ち出した。



「あ・・・あ、う・・ぅ・・・」



トシは相変わらず荒い呼吸を必死に紡ぎながら、目に一杯の涙を浮かべて体を震わせている。

俺は想像以上の効き目に満足し、力なくもがいているトシの生白い足を左右に大きく割り開いた。


露わになった桃色の蕾に、放出された精液を絡めた指を挿し込むと、また嬌声が上がる。



「あ、ああぁ・・・う・・ぅぅ・・・っ!」



挿し入れた二本の指を交互にグチュグチュと動かし、その体を再び高みへと導く。



「あ・・・ぅあ・・・あ、あぁっ!」



拡がっていくにつれて指の動きを激しくすると、トシはビクビクと腰を揺らし、布団の外へ投げ出した手で畳を掻き毟りながら二度目の絶頂を迎えた。


依然として痙攣を続ける内壁から指を抜いて見ると、先程水を飲んだばかりだというのに、トシの喉はもう渇き切ってヒューヒューと枯れた呼吸を
響かせていた。



「大丈夫か。」



覆い被さるように覗き込み、ぐったりと横を向いた顔を起こすと、充血し切った双眸はぼんやりとして焦点が合わず、半ば下りかけた瞼はこちらも
ピクピクと細かな痙攣を続け、目元も頬も良く熟れた林檎のように真っ赤に色付いていた。



「苦しいか。」



艶やかなその赤色に目を奪われながら訊くと、トシは乾燥して震える唇を、打ち上げられた魚のようにパクパクと開閉させた。



「はは、口も利けなくなっちまったのか?」

「・・・っ・・・」

「聞こえちゃいねーか。」



虚ろな目で空を見つめてぶっ飛んでいるトシは、堪らなく可愛い。


視線を下に移すと、そこは早くも三度目の熱が立ち上がっていた。



「もう挿れたい?」

「・・・」

「ここ。」

「・・・っぁ・・ぅ・・・」



濡れそぼった後孔に指を突っ込んで訊くと、トシは掠れた悲鳴を上げ、僅かに顔を歪めた。



「挿れるな。」



最早訊いても何も返さないトシの足元に回り、再び足を抱え上げる。

着物の裾を割っていきり立ったものを取り出し、後孔に押し付けると、その体はやっと反応を示した。



「ぁ・・・ぁぐ・・・」

「すぐ良くしてやるからな。」



慣れたそこに一息に押し込むと、火傷しそうなほどに熱くなった腹の中が突然の侵入物にビクンと大きく震え、汗の浮いた白い首が引き攣った息を
漏らして仰け反った。



「ひ・・・ひぃ・・・っ!」



すぐに律動を始めると、トシはその動きから逃れるように手足を目茶苦茶にばたつかせ、悲鳴を上げた。



「・・・いいか、トシ・・・?」

「あ・・・が・・・ぁぅ・・・っ」



開いたままの口角から、つうっと唾液が零れる。

熱を持った内壁は壊れたように痙攣を続け、すぐにでも達してしまいそうな刺激を俺に与えた。



「ぁ・・・ああ・・・あああ・・・っ───!」

「うるせェ。」



徐々に声が戻ってくると同時に大きくなる喘ぎ声に、左手を伸ばして口を塞ぐ。



「ぐっ・・・ぅぅ──・・・っ」

「・・・っ・・・!」



息苦しさに比例して締め付けが強くなり、暴れていたトシの手がおれの左腕を退けようとぺちぺちと叩いた。



「・・・もう・・・出すぞ。」



口を押さえる左腕を支点に腰を抱え上げて一層深い場所を擦り上げると、トシの手は再び離れて畳を滑る。



「──っ・・・ぅ・・・ぐ・・・っ!」



見開かれた真っ赤な目からポロポロと涙が零れ、腹の中の痙攣の間隔が乱れ出した。

そろそろ限界かも知れない。



「・・・トシ・・・達け。」

「っ・・・ぐぅ───・・・っ!」




叩きつけるように内部に精を放出する。

トシは全身を波打たせて達し、飛び散った白濁は胸の方にまで散った。



「は・・・っあ・・ぐ・・・ぁ・・・」



口を押さえていた手を離しても、しばらくは上手く呼吸ができないらしく、汗にしっとりと濡れた胸が不規則に浅く上下する。



「トシ・・・」

「あ・・・あぁ・・・ぅ・・・ひっ・・ぐ・・・」



額を優しく撫で上げてやると、呼吸が嗚咽に変わり、未だ生気の戻らない目からさらさらとした涙が流れた。



「もう終わりだ。寝ていいぞ。」

「ぅ・・・ふ・・っ・・・」



額に当てていた手を下ろし、瞼を閉じさせる。

ゆっくりと手を離すと、気を失ったトシの頭がカクンと横を向き、やがて穏やかな寝息が上がった。




*****




「銀時、あの薬、使わせて貰ったぞ。」

「薬? ・・・あぁ、黒駒のオッサンに貰ったやつね。」



茶屋の腰掛に並んで座り、俺は茶を一口啜った。



「で、どうよ? 刺激的な熱い夜は過ごせたかね?」



銀時が餡のたっぷり乗った団子を口に運び、ニヤニヤとした目で俺に訊く。



「あぁ。あまりに盛り上がり過ぎてトシは完全にダウンだ。少なくとも今日一日は起き上がれそうにねェな。」

「あ、そう。」



死んだ魚のような目を空になった団子の皿に移す。



「なぁゴリさーん、銀さん今お金無くてひもじいんだよねー・・・」

「あ? ・・・あぁ、分かった分かった。今日は礼におごってやるよ。」

「マジでか! おいオヤジ、あんみつと大福とよもぎ団子追加!」



目を輝かせて追加注文を叫ぶ銀時に、俺はフッと呆れ笑いを漏らした。



「しかしゴリさんもケーサツとは思えないよねー。」

「・・・そうか?」



また一口、茶を啜る。



「あんな薬、違法中の違法だぜ?」

「・・・そうと知ってて警察の人間に渡すお前も相当なもんだがな。」

「そりゃあ、アレだ・・・」



あんみつが運ばれ、銀時は黒蜜を掛けた寒天を口に含んだ。



「アンタなら、上手く使ってくれそうな気がしたからさ。」



死んだ魚の目に、一瞬光が走る。



「・・・俺が上手く使ったところで、お前には何の影響もないだろう?」

「いやいや、あわよくば俺も混ぜて貰おうかな〜・・・なんて淡い期待を抱いただけさね。」



目が戻り、何事も無かったように匙で寒天を掬う。



「混ざりたかったのか?」

「言ったろ、ウチはガキが入り浸ってるもんだからさァ、おちおちエロ本も読めやしねーんだよ。可哀想だろ?」



同情を引くように深い溜め息をつく銀時に、俺はまた笑いを漏らした。



「トシで遊びたかったら、いつでも声掛けろよ。」

「あ?」

「まだ薬の残りもあるし、元々は銀時の貰ったモンなんだから気兼ねなく使っていいんだぞ?」

「へー・・・」



器の底に溜まった蜜を飲み干し、銀時はニヤリと笑った顔を近づけてきた。



「薬はともかく、多串くん貰っちゃってイイの〜? ゴリさん。」

「勘違いすんな。やらねーぞ? 貸すだけだ。」

「っひょ〜、随分太っ腹な亭主だこと。」

「こう見えて人は善いんでね。」



ニヤリと笑い返して、俺は大福にかぶりついた。



「あ、それ俺の!」

「これでまた貸しだ。暇が出来たら取り返しに来りゃあいい。」

「大福の代わりに女房を質に入れますかアンタは・・・。」

「トシは大福に及ばねェか?」

「いやいや、是非とも早く流れて貰いたいもんだねェ・・・。」



銀時の目に、再び怪しい光が浮かぶ。



「じゃ、俺はもう行くぞ。トシの様子も気掛かりだしなぁ。」

「へぇへぇ、お大事にね。」

「あぁ、またな。」

「また、な。」



ひらひらと振られる掌の向こうに、お互い、嗜虐の色を垣間見せる。


俺は腰掛に飲食代を置いて踵を返し、何も知らずに布団の中でぐっすりと眠っているであろうトシを思い、
屯所へ急いだ。





(了) 




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・・・ハイ、薬品プレイでした。

今回は前回よりも幾分ダークな感じにしたつもりですがいかがでせう。
いさおっちの「俺の物」宣言も出してみましたし。


薬品プレイは結構好きです。
自我を失ってラリッているトシたんをいぢめるのなんかもうゾクゾクしちゃいますね。

なので、今回の話は私の願望をいさおっちに叶えてもらった感じです。


あ、ちなみに普段は銀土も土銀も全く興味無しの私ですが、こういうパラレルな世界では
ドS銀さんに加わってもらっての3Pとか好きです。
銀さんの台詞書くのも楽しかったし〜♪

そごたんでもいいかも知れませんね。
もう4Pでもなんでも掛かってきやがれな感じですね。


そのうち書くかな〜?
書くかもです。